―退職所得控除―
Q.コロナ禍で、会社が希望退職者を募っています。退職金も上乗せされるので、早期退職することにしました、
退職金は2500万円程になりそうですが、所得税はどの位かかりますか。 (55歳男性、勤続年数30年)
A. 退職金は原則、その支払い時に所得税や復興特別所得税(以後所得税等)が源泉徴収されます。
退職金が支払われるまでに、その支払者に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば、源泉徴収のみで課税関係は終了し(分離課税)、通常確定申告の必要はありません。
<退職所得控除>
勤続年数 |
退職所得控除 |
20年以下 |
40万円×勤続年数〔最低額 80万円〕 |
20年超 |
800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
ワン・ポイント・アドバイス:勤続年数は切り上げ!
ご質問のケースについて、所得税等の額を計算してみます。
まず、退職所得金額を計算します。
退職所得金額=(退職金額-退職所得控除額)×1/2
退職所得控除は上表の通りで、勤続年数30年の場合は、
800万円+70万円×(30年-20年)=1500万円
よって退職所得金額は、
(2500万円-1500万円)×1/2=500万円
所得税の課税表から、所得税は、
500万円×20%-42万7,500円=57万2,500円
これに復興特別税(2.1%)分が加算され、
57万2,500円+( 57万2,500円×2.1%)=58万4,522円
が源泉徴収されます(このほかに住民税(10%)50万円も特別徴収されます)。
このとき、勤続年数は切り上げでカウントします。つまり、30年1日勤務した場合は31年として計算されます。退職日が選べるならば、「勤続年数は切り上げ」を意識しておくべきです。